交際費等の損金不算入制度
今回は、会社の交際費に関する税務上の制度について見ていきます。
企業が支出する交際費等は、取引の円滑化や販売の促進に繋がるものであり、
収益を得るための費用として本来は損金の額に算入されるべきものですが、
以下のような理由から税法上その計上は制限されています。
① 過度の交際費等の支出により企業の内部留保が阻害されないよう、その支出を制限するため
② 交際費等のうちには事業との関連性が乏しいものや違法性のあるものも少なくないので、
企業の悪習を税制面から排除するため
③ 特定の者が恩恵を受ける交際費等を全額損金と認めることは、国民感情の面でも問題がある
この制度は、法人の税を規定する法人税法そのものではなく、租税特別措置法という法律で定められています。
この法律は産業政策上特別に必要な制度を、期間を定めて規定している法律ですが、
交際費等の損金不算入制度は昭和29年から延長を繰り返して現在も残っていることから、半永久的な制度と言えます。
(それぞれの時代の経済情勢を反映して、金額の計算方法が変わることはあります)
現在は、交際費等の損金不算入額は法人の規模により下記のように定められています。
① 期末の資本金または出資金の額が1億円を超える法人
交際費等の全額
② 期末の資本金または出資金の額が1億円以下である法人
(※)
年額600万円以下部分×10% + 年額600万円を超える部分の全額
(※)設立したばかりの法人である等、事業年度が12ヶ月に満たない時は、
『600万円×事業年度の月数÷12』となります。
大規模な法人の場合は、接待をする側ではなく接待される側の立場であることや上記のような理由から、
全額を損金として認めないこととされています。
中小企業の場合は、年額600万円までは交際費の支出を認められていますが、
年額600万円を超えた部分はその全額が損金不算入となります。
また、年額600万円を超えない部分も10%は損金不算入となりますので、
交際費等に該当しないものを交際費として会計処理をしていると、払わなくていい税金を払うことにも繋がります。
適正な納税を行うためにも、経営者の制度の理解も必要です。
この制度は経済状況により計算方法がよく変わるため、制度改正がされていないか常に注意するようにしましょう。
どのようなものが交際費に該当するかは『交際費とは』に記載していますが、
迷った時はまず顧問税理士に相談してください。
2010年3月17日