税務官庁の調査官には「質問検査権」という権限が与えられています。
私自身も国税調査官時代には検査票を携帯していました。刑事さんがもっている警察手帳がありますよね。調査官も同じような手帳をもっており、検査票を提示して税務調査を行うのです。
法人税法の条文には「・・・法人の納税地の所轄税務署・・・は、法人税に関する調査について必要があるときは、・・・質問し、又はその事業に関する帳簿書類を検査することができる。」。この条文における「必要があるとき」については、特に具体的な規定は存在しません。つまり税務署側の判断に一任されている、ということです。
もちろん、税務署が一方的に好きなように調査ができるのかと言えばできません。マルサのように裁判所の令状をもって強制調査を行う場合は別ですが、通常の任意調査ではこれまでの権限も権力もありません。
しかし、この質問検査を拒否した場合には、1年以下の懲役又は20万円以下の罰金に処されます。通常の税務調査は、調査日以前に会社や顧問税理士に連絡をし、日程調整を行います。どうしても、相当な理由があり調査には応じられないという場合には、再度、日程調整をおこない調査は実施されます。
つまり、確定申告制度を採用しているわが国では、申告制度と調査は両輪であり、片方が抜けることは税制の根幹に係わる問題です。
したがって、税務調査とは、表向きは任意調査ではあっても、実質的には罰則規定を有する強制調査である、と言えましょう。
納税者側からみると自主申告したのであるから当然に税務署はそれを確かめにやってくる(税務調査にくる)と心得ていたほうが良いでしょう。
何の心構えもなく、いきなり税務署が来るということになれば、精神的・肉体的にも疲れてしまいます。「やっと来たか・・」というくらいの余裕があって商売をしている経営者も中にはいます。
過去の税務調査でもいました。そんな経営者は成功者と呼ばれている人が多かったと記憶しています。